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唐茄子屋政談(唐茄子=かぼちゃ)内藤かぼちゃ 


 大店の若旦那・徳三郎は吉原の花魁にうつつを抜かした挙げ句、勘当されてしまう。当初はなんとかなると高をくくっていたが、いざ無一文になると世間の風は冷たい。馴染みの花魁や出入り職人達も親身になってくれる物はいない。3日間食べ物にありつけず、身投げして死んでしまおうかと考えていたところを伯父に助けられる。
 伯父のすすめで翌日からカボチャ売りをすることになるが、箸より重いものを持った事がない若旦那、天秤棒などまともに担げるわけがない、すぐにへばり道へばらまいてしまう始末。それを見かねた男が知り合いに声をかけて売ってくれる。また長屋の住人たちが手分けして買ってくれたりする。そうした経験が身に染みてだんだん人間的に成長していく若旦那。
 ある裏長屋あたりを通りかかると、長屋の若いおかみさんに唐茄子を求められる、その家の軒先で弁当を食べさせてもらうように頼み食べはじめると、子供がもの欲しそうに見ているのに気づく。聞くと何日も食べていないという。若旦那は、自分のこともわすれ、子供に弁当をやり、売上金もその若いおかみさんに渡して帰ってくる。伯父の家に行ってその事を話すが信じてもらえず伯父を連れて裏長屋へ戻ると、おかみさんの家に人だかりが出来ている、聞けば若旦那が渡したお金を因業な大家が店賃として取り上げてしまった。悲嘆したおかみさんが首をくくろうとしたところを長屋の連中に助けられたという。怒った若旦那はその大家をやかんで殴り成敗。若旦那の人助けも伯父に信じられて、奉行所も因業大家を咎め、若旦那には賞金がでた。それをみとられ、勘当がとけたとう人情噺。
 この噺の中に、唐茄子の安倍川というものが出てくる。普通きなこ餅を想像するが、カボチャを擂りつぶしてきなこをまぶすものがあるらしい。ぜひ内藤カボチャでためして見たい。