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農業系エンタメ作品に触れてみた。Part 1

農業や食をテーマにしたエンタメ作品(本、映画、マンガなど)をコラム的にご紹介します。

筆者は東京生まれ東京育ち。農業経験はありません。

なお、文中に内容のネタバレも含みますのでご注意ください。

 

【映画「銀の匙 Silver Spoon」】

■劇場公開日:2014年3月7日

■監督:吉田恵輔

■キャスト:中島健人、広瀬アリス ほか

■あらすじ

農業に縁もゆかりもないサラリーマン家庭の男子高校生が、「親から離れたい」という理由だけで全寮制の農業高校に進学し、酪農の厳しい現実に触れ合いながら成長していく。

学園ドラマのゆるさと酪農の現実と厳しさ

基本は農業高校を舞台に主人公・八軒勇吾の成長を描いた青春ムービーです。その中に酪農経営の苦悩や家畜への心情がリアルに、ポップになりすぎずに描かれています。

手伝いに行った酪農家にて、自分のミスにより誤って破棄してしまった生乳の原価を計算し、発生した損害額に愕然としたり、同級生の牧場が経営難で廃業に追い込まれたり。

酪農家も都会の中小企業と同じようにコスト管理や後継者問題といった経営課題を抱えていて、自然への憧れや動物が好きという理由だけでは務まらないのである。という厳しさを映画内の八軒と一緒に、見ている自分も実感させられます。

 

経済動物との関わり

「経済動物」―その飼育が、畜主の経済行為として行われる動物の総称。ただし呼び方としては、家畜の方がより一般的であり、これに対する名称及び存在が愛玩動物(ペット)である― (Wikipediaより)

八軒は実習の一環として飼育を担当することになった豚に名前を付けようとしてクラスメイトから咎められます。「経済動物に名前を付けて情を持つなどありえない」と。

ちなみに付けた名前は「豚丼」。

八軒は、最初はそれに反発しつつも学校生活と豚丼の飼育を通じて次第に自分なりに受け入れていきます。

最後には、加工された豚丼を燻製してベーコンにし、調理してクラスメイトに振る舞います。

経済動物は商品である、豚丼は命でなくモノなんだという現実を食べることにより自分の中で消化しようとしていたのでしょう。それが不器用ながらもまっすぐな八軒らしさなのかも。

 

「食育」としてみんなに見てもらいたい

この映画のテーマの一つである「経済動物との関わり」についてのハイライトともいえる、豚を食用へと加工していく場面は、可能な限りリアルに描写されています。

 

「もうやだ。お肉食べられない・・」となるか、

「動物や生産者に感謝して、食べ物を大切にしよう。」となるか、

「ベーコンうまそう。」になるのか。

見た人によって感じることは様々だと思います。

 

食を大切にする心を育てる。人にとって欠かせない食への感謝の気持ちを持つ。

「食育」という意味で、若者や子供たちにも見てもらいたい映画であると思いました。

なんだか固くて暗~い感じの映画の様なレビューになってしまいましたが、

学園生活を通した主人公の葛藤と成長、コミカルな同級生や先生、かわいいヒロインとの微妙な関係・・・など、学園青春映画としても充分に楽しめましたよ。

 

なお、原作は2012年にマンガ大賞を受賞したマンガ作品で、アニメ化もされています。 

 

鶴千亀万