· 

儲かる農業の仕掛け人 農業のユニクロを目指す!

農業は英語でagricultureと書く。

Agro(田畑)とculture(生活集団)と分解してみると

農業とともに集落が形成され、文化が生まれ、それが歴史や伝統となって来た事が良くわかる。

しかし、18世紀後半の産業革命以降は、作る側(industry)と買う側(market)と言う価値観の中で経済が大きく変貌して行った。

日本においても、明治以降は農地から都市へ人が移動し、様々な産業が芽生え発展してきた。

その中で農業は果たして産業化されてきたのだろうか?

日本の農業は農産業に変貌して行ったのだろうか?

北米やオーストラリアの様に、農業の歴史が産業革命以降の国は、農産業としての経営課題は織り込み済みであったのであろう。

日本の農業は数千年の歴史があり、そこには土着的な要素がある。そして戦後の誤った農業政策によって産業化が妨げられた。

21世紀になって、ようやく農業の産業化や6次化と言う言葉が出回りだしたが、果たして構造改革は進んでいるのだろうか?

そこで今回は、マーケティングオリエンテッドと言う概念の元にサプライチェーンを構築し、日々進化し続ける若武者、左今克憲さんに取材を行った。

株式会社アグリゲート代表取締役 左今克憲氏

SPFって何?

左今さんが経営するのは株式会社アグリゲート。

2010年に設立された農産業のサプライチェーンを全て包含する会社だ。

その目指すビジネスモデルはSPF。

SPFとはspeciality store retailer of private label Foodでありこれはユニクロや無印良品のSPAに倣った表現だ。

その仕組みはこうだ。

農産業の生産から販売までの一貫した企画を考え、新たな規格を構築する。

▼SPF(Specialty store retailer of Private label Foods)概要図


まず、生産(仕入)に関しては時期にもよるがだいたい自社農場1割、産直4割、市場5割と言う構成。

産直に関しては150を超える全国の生産者から仕入れている。

現状は95%が青果物で残りが加工食品。今後は生産者と共に企画した加工食品も増やして行く予定だそうだ。

販売実店舗は、8店舗。飲食店(蕎麦屋)1店舗。それに通販が加わる。近い将来は東京を中心に50店舗の出店を目標としている。

アグリゲートの旬八青果店

月に一度程度の頻度でマルシェの依頼をいただき、出店することで市場分析も行っている。

このSPFのビジネスモデルの中で注目すべき点は、「情報の楔」がすべてのサプライチェーンの中に埋め込まれている事だ。

この情報の共有が生産、流通、販売の各場面において革新的な知恵の種となっている。

 

昔ながらの八百屋さん

実店舗の販売は昔ながらの販売手法だ。

お勧めの食材にレシピ提案をする。

「今日は大根が入ったよ。奥さん今晩は秋刀魚だね!」

などと言う提案よりもうチョット高度なレシピ提案をしている。

しかし、このレシピ提案は、昔ながらでは決してない。

社員それぞれが体得済みのレシピを、社内SNSに投稿し、各自がチェックすることにより、情報を共有し、お客様に提案する事が出来る。

商品にも工夫がある。

規格外D級品の販売である。(農産品の全体の3割程度がD級品で廃棄処分されているといわれている)

味、品質が全く同じでも、曲がったキュウリは売れない、と言う固定概念払拭した商品である。これは当然廉価で仕入れて廉価で販売する。消費者には当然感謝されそこで会話も生まれる。

 

規格外とされてしまうユニークな形のきゅうりも店頭に並ぶ

もう一つの工夫としては、まだ商品にはなるが早い段階で見切った野菜を調理してお弁当として販売している。

野菜たっぷりのお弁当は評判を呼び、昼時はお客様で長い列になっている。

「黒字に拘りながらお客様拡大のノウハウをためて行く。」と左今氏は言う。

「良い販売チャネルを持てば、良い商品を提供して頂ける生産者が自ずと集まってくる」とも言う。

 

情報の価値を高めるのは出会いの数

このビジネスモデルの「情報の楔」の大きな情報源は、店頭で得た情報で構成されているのだろう。

それらの情報やノウハウは、ヒューマンリソース事業でも生かされている。

ヒューマンリソース事業とは、アグリゲートが運営する旬八大学の事である。そこでは、生産者、バイヤー、小売店を対象とした講座開設を行っている。

SPFをもっと高みに上げる為の構想を左今氏はこう語っている。

「今、店頭を中心に1か月で4万人の方と接触する機会を得ています。それを100万人にしたい。」

「マッシュルームのレシピ紹介をする」旬八青果店の西野晃央さん

これは、まさに農産業の新たなプラットフォーム構築への挑戦なのだろう。

2016.10.24 山海亭珍味